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No.87令和3年度 所得拡大促進税制の見直し

2021.05.31

令和3年度 所得拡大促進税制の見直し

令和3年度税制改正により、中小企業対象の所得拡大促進税制の適用要件等に見直され、簡素化したうえで適用期限が2年延長されています。

改正前の制度では、前年度の期首から適用年度の期末までの全ての月分の給与等の支給を受けた従業員のうち、一定の者に支払った継続雇用者給与等支給額を前年度より1.5%増加させなければなりませんでした。
今回の改正により通常要件が見直され、継続雇用者に限定しない全ての国内従業員(役員及びその特殊関係者等(以下「役員等」とする)を除く)に支払った雇用者給与等支給額を前年度より1.5%以上増加させれば、その増加額の15%が税額控除できるようになりました。

改正前は継続雇用者を抽出し集計しなければならず、従業員の出入りが多い会社ではこれが結構大変でした。
改正後では、当期と前期の給与等の金額から役員等に対する給与等を控除することで適用要件及び税額控除額を計算することでき、かなり簡素化されたのではないかと思います。

また、上乗せ要件では、
・従前の教育訓練費増加等の要件(教育訓練費が前年度比で10%以上増加していること
・適用年度終了までに認定計画の証明がされていること
のいずれか)を満たし、雇用者給与等支給額を前年度より2.5%以上増加させた場合には控除率は10%上乗せされ合計25%の税額控除が受けられます。
ただし、税額控除額は法人税額の20%が上限です。

なお、今回の改正では「雇用調整助成金」の取扱いが条文上明文化されており、適用要件で用いる給与等支給額から雇用助成金は控除しないこととされた一方で、税額控除限度額の計算で用いる給与等支給額から雇用助成金を控除することとされています(措法42の12の5 ③四、五、十等)。

コロナ禍の影響により経営環境が悪化し、雇用維持のため雇用調整助成金を受給している法人が多いかと思いますので、取扱いに注意が必要です。

今回の改正は、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されることになり、基本的には来年の3月決算法人より適用になります。
コロナ禍の影響により、賃上げによる所得の拡大がなかなか難しい状況ではあるかと思いますが、適用要件がかなり簡素化されていますので、要件を満たす場合には漏らさず適用していきましょう。