No.84税負担の基準とは?
2021.05.17
令和2年度の確定申告処理が終わりに近づき、少しだけ余裕が感じられる4月の中旬。
もし、コロナの影響で申告期限の1カ月延長が無かったことを考えると、恐ろしい気持ちとなり、2年続けて延長されたこのリズムが体に染みついてしまうと、来年はどうなるのだろうと心配になる今日この頃。
遠い未来のことを細かく考えると心がザワザワするので、足元の仕事をコツコツと処理して行くしかないともう一人の自分を説得し、現実逃避も必要かと、最近はテレビで「○○プライムビデオ」が見られるように機器を設置し、限られた範囲ではありますが、いつでも見たいドラマや映画を見ています。
その中でのお気に入りは、韓国ホームドラマです。
ほとんどの韓国ドラマは字幕スーパーの付いたもので、声は韓国語がそのまま流れてきて、役者さんの演技がダイレクトに入ってくるので、この頃は字幕の方が見慣れてきたくらいです。
韓国ホームドラマの傾向として、出てくる家族のほとんど全員が、いつの間にか恋人や仕事関係の知り合いになっていくこと。また、当初は家族間で経済的格差等の障害があり、結婚は難しいと双方の家族から反対されますが、主人公の頑張りでその困難を乗り越えていきます。一つの困難を乗り越えて、「良かったね」と思いきや、また同じような困難が主人公の前に立ちはだかり、今回ばかりはもうダメだと思いきや、また誰かの助けを借りながら困難を乗り越えて行くというストーリー展開を、ドラマによっては何十話も掛けて放送します。(まただよと思いながらもついつい見てしまいます。)
何十年か前に「冬ソナ」を見ていた人達の気持ちが、今の自分も分かる気がして、自分もいつかは韓国へ行ってみたいと思うほどハマっています。
そんな韓国へ旅行に行くためにお世話になるであろう旅行会社の中で、業界最大手のJTBが資本金を減資すると最近ニュースになっていた為、減資を行う理由が税務上の問題だと思われる根拠を私見ではありますが、記載しようと思います。
税務上、資本金及び資本金等(資本金+資本準備金等)の金額がいくらかで、税金の計算や税率が変わってきます。一般的に大企業は資本金が大きく、中小零細企業は資本金が小さいと考えられ、詳細は割愛しますが、資本金1億円を基準として、1億円以下を中小企業者と呼んで大企業(大法人)に比べて税務上の優遇措置が取られています。(その他に資本金等と呼ばれる基準も地方税等の計算を行う上で重要になってきます。)
具体的な取り扱いの基準として、
「資本金」を基準とした例
①法人税の軽減税率
②欠損金の繰戻し還付制度・青色欠損金の控除割合
③交際費等の損金算入限度額の控除限度額の基準
④法人事業税の外形標準課税の判定 その他
「資本金等の額」を基準と例
①寄附金の損金算入限度額の計算基礎
②法人住民税の均等割
③法人事業税外形標準課税の資本割額
今回JTBは、コロナ禍の影響で売上が大幅に減少し、今後もその状態が継続する見込みであり、当分の間は赤字が続く可能性が高い。既存の資本金及び資本金等の区分では大法人に該当するため、中小企業者であれば納付する必要が無い外形標準課税の付加価値割や資本割(所得以外の人件費や支払家賃、支払利息及び資本金等を基準として計算する税金)が赤字であっても納付する必要がある。また、所得に関係なく「資本金等の額」に応じて納付額が高くなっていく地方税の均等割もこのままだと高止まりして納付することとなり、財務状態の厳しい会社では出来る限りこれらの税金を減らしたいと思うだろう。上記の税金を回避及び縮小する為に資本金(資本金等)の減資を行う必要があると判断したと思われる。
また、この判断の前提にはJTBが上場会社ではなく未上場会社であることも減資をスムーズに出来た理由だと思われる。
現状の税法体系で違法な行為ではないため、仕方ないと思われますが、今後も特に資本金1億円を基準とした区分計算を行う事に疑問はあり、デジタル及びネット社会等で社会情勢が変化する中、税負担だけを考えて資本金を減らす方法には制度体系を歪める可能性が高いと思われ、現在もその他の基準が全く無いわけではありませんが、今後は資本金1億円以外の違う基準も考える必要があると思われます。