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No.70「除菌用?消毒用? アルコールスプレーの税務」

2020.09.29

「除菌用?消毒用? アルコールスプレーの税務」

いつの間にか9月になり、時が過ぎ去るのがとても早く感じます。今年はコロナの影響が大きいかと言えばそうとも言えず、実際の仕事や生活のリズムは、コロナ禍以前とそれほど変わらずに続けられています。

強いて言えば、売上が大幅に減少したことにより、給付金関係の資料作成等の対応が多々ありました。コロナの影響で仕事が出来なかったり、離職しなければいけないケースをテレビ等で見聞きすると、少なくとも今まで通り仕事が出来ていることは幸せなのかも・・・と思ったりします。(早く感じるのは少しずつ年を取っているからなのかもしれません)

日常では、ドラッグストアやホームセンターでは、マスク、消毒液やハンドソープが売り切れの状態が続いていましたが、近頃は、日本製では無いマスクが並び始め、消毒液やハンドソープも在庫切れが解消されています。
私自身も、マスクを付け、携帯用の除菌スプレーを持ち、コロナ対策を万全にして顧問先へ訪問しております。

さて、とある顧問先で帳簿をチェックしていると、消毒用アルコールスプレーの購入仕訳が計上されていました。消費税の税率を見ると軽減税率8%となっています。
私が使用している除菌スプレーは軽減税率では無く、通常の10%で購入した事を思い出し、「会社の経理処理が間違っているのでは?」と、経理の担当の方に該当する請求書を見せてもらいました。
すると、請求書にも軽減税率8%と記載されていました。請求書が間違っているのか?と一瞬思いましたが、以前確認した国税庁の「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の中に次のような項目があったことを思い出しました。

(問18 食品の製造において使用する「添加物」の販売は、軽減税率の適用対象となりますか?
【答】食品の製造・加工等の過程において添加される食品衛生法に規定する「添加物」は、「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。)
【参考】
〇食品衛生法第4条第2項
この法律で添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。

その他、(問20では重曹を食品及び清掃用に使用することができるものとして販売しています。販売に当たり、食品添加物として、食品表示法に規定する表示をしています。この重曹の販売は、軽減税率の適用対象となりますか?
【答】食品添加物として販売される重曹は、「食品」に該当〔一部抜粋〕)となっています。
<参考資料> 
国税庁の消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)

そこで、販売元の会社のホームページを確認したところ、商品の説明に「除菌用アルコール食品添加物」と記載があり、この商品は「食品」に該当し、軽減税率の対象になることが分りました。
これまで、食品添加物は、「食品に含まれるものだけ」と認識していましたが、調べてみると、「食品用発酵アルコールを原料としている製剤」もその対象に入ることが分りました。
(調理場のまな板や包丁等を除菌する目的で使用するようです)

帳簿の摘要に「消毒用」と記載したのは経理担当の方ですが、除菌用なのか消毒用なのかはその方のイメージで記載方法が変わる可能性があります。
帳簿確認の際は、基本に立ち返り、帳簿から請求書の確認を行い、その上でその内容が他の法律等でどのように規定されているかの事実確認を行うことが大事です。
今回の件で、我々の仕事は、会計や税法だけを勉強すれば良いだけではなく、それ以外の知識を絶えず吸収し更新していくことが必要だと、大変勉強になりました。

最後に豆知識を披露。
日本で最初に複式簿記(日商簿記検定で行うあれです)を採用したのはどこか?答えは、明治初めの造幣局だそうです。先日、造幣局博物館に行った時に当時使用していた帳簿が展示してあり、その旨の記載があったので確かだと思います。
為になりますので、お暇なときに行かれてはどうでしょうか。