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No.54「ぬか床販売は軽減税率の対象か?」

2019.09.30

「ぬか床販売は軽減税率の対象か?」

今、「ぬか漬け造り」に凝っています。

以前から仕事帰りにスーパーに寄り「浅漬けやキムチ」を買って夕食の箸休めとして食べていましたが、「浅漬けやキムチ」は味の主張が強く、毎日というより時々無償に食べたいと思う食材の為、1カ月に1回程度で購入して食べていました。
毎日食べられる漬物はないかと思っていたら、小学生の頃に母親が台所の下で大きな丸亀にぬか漬けを作っていたことを思い出し、自分も「ぬか漬け造り」に挑戦しようと考えました。

ネットで検索してみると、ゼロから「ぬか床」を作るのは、かなりハードルが高く、失敗している方が数多く見受けられました。
「ちょっと難しいか」と思っていると、関連広告に「熟成ぬか床」と掲載されており、買ってそのまま使用できる旨の記載があり、その種類もかなりあることが分かりました。
その中で、「無印良品のぬか床」が店頭で販売されていることを知り、ユーザーからもかなり高い評価を得ている為、それを買うことにしました。

厚手のビニール袋の中にぬか床が1キロ入っていて、縦に置くと立つ形状で、ぬか床が下に溜まるようになっています。上の口にジッパーが付いていて、匂いや空気をシャットアウトできる構造の為、そのまま冷蔵庫に入れて使用出来ます。

「ぬか床」自体は完成されている為、後は食材と漬け時間だけうまくいけば、おいしいぬか漬けが食べられます。食材選びでスーパーを見て回り購入することで、日常に少しの楽しみを見つけることが出来、自分としてはかなり満足しています。
本当はもっと詳しく食材の購入や漬け方についてコメントしたいところですが、文字数も限られていることから、本題の消費税の説明に入ります。

10月から消費税が10%に上がり、それに伴い軽減税率8%も開始します。その「軽減税率の対象」とは何か?

軽減税率のほとんどは「飲食料品の譲渡」と言っても過言ではありません。その「飲食料品」とは何か? 
第一判定として、国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)」(以下制度概要編)の問2には、「飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除きます。)で、ここでいう「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいます。例えば、工業用として販売される塩など、人の飲用又は食用以外の用途で販売されるものは該当しない。(抜粋)」と記載されています。

「ぬか床」はどうかと言うと、それ自体を食べるというよりも食材を漬けることで、その食材の味や食感を向上させる働きをする為、軽減税率の対象と考えて良いのか疑問に思うかもしれません。
しかし「ぬか床」も上記の「人の食用に供される」(その成分を摂取する)目的で販売されていれば、飲食料品に該当します。
参考事例として、上記国税庁の別紙「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」(以下個別事例編)には、「それが、人の飲用又は食用に供される目的で販売されるコーヒーの生豆(問5)・もみ(問6)・添加物(問18)・重曹(問20)も「飲食料品」に該当する」と記載されています。
<店頭で販売されている「ぬか床」も自分が確認した限り、賞味期限が記載されています。>

第二判定では、その「ぬか床」をそのまま使用出来る厚手のビニール袋に入れて一緒に販売されている場合、一体資産に該当しないか?という疑問です。

「一体資産」とは、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているもので、「一体資産」としての価格のみが提示されているものをいいます。「一体資産」の譲渡は、原則として軽減税率の適用対象ではあまりませんが、次のいずれの要件も満たす場合は、飲食料品として、その譲渡全体につき軽減税率が適用されます。
① 一体資産の譲渡の対価の額(税抜)が1万円以下である。
② 一体資産の価額のうちに該当一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上である。
(売価や原価の割合)(制度概要編問3抜粋)

また、《飲食料品を販売する際に使用される容器》の取り扱いについても「その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、当該包装材料等も含め軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」に該当する。」と記載されています。
(個別事例編問25抜粋)

今回のぬか床を入れる厚手のビニール袋は、開閉用のチャックもついており、ぬか床の容器としてそのまま使用出来ますが、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されている為、包装材料等も含めて軽減税率の対象になるものと思われます。

ただし、ネットに掲載されていた「ぬか床セット」は、(ビニール袋に入れた)ぬか床を琺瑯製の容器入れて、一体で販売されている為、「陶磁器やガラス食器等の容器のように飲食の用に供された後において食器や装飾品として利用できるものを包装材料等として使用しており、食品とその容器をあらかじめ組み合わせて一の商品として価格を提示し販売しているものは、その商品は「一体資産」に該当する。」(個別事例編問25抜粋)と記載されている通り、一体資産として軽減税率の要件を満たすものかどうかの判断が必要になってきます。

このように「ぬか床」一つとっても、それが消費税の軽減税率かどうかを判定する過程で、事業者に多くの判断基準を要し、通常の経済活動を阻害するものであること。また、今回は分かりやすい事例を紹介しまいしたが、包装容器等がブラスチックのケースならどうかなど、判断に迷うケースがこれからも出てくると思われ、個人的な意見として軽減税率導入には反対です。
ただ、決まってしまった法律に逆らうことは出来ませんので、今後この軽減税率の範囲が広がらないことを祈ります。

自分としては、趣味の「ぬか漬け造り」は今後も続けて行きたいと思っています。(何でもないようなことが~、幸せだったと思う~)by虎舞竜。(ボーカルの人は大丈夫かな?)