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No.42給与明細

2019.04.02

給与明細

個人の確定申告が3月15日で終わり、一息つく暇もなく1月決算法人(3月申告)の提出期限が直前に迫っている・・・そんな忙しい時期に起こった話です。

とある会社の申告処理をしていたところ、従業員の人件費が前期よりかなり伸びているため、法人税法上の「所得拡大促進税制」を適用できる可能性が高いことに気が付きました。

そこで、経理担当の方に、適用要件と給与の集計方法を説明し、給与の集計資料の提出をお願いしましたが、思わしくない返答がありました。

その会社では、担当役員のみが給与計算・管理をしているため、経理担当者では個々の給与を閲覧することすらできず、集計表を作りたくても作れない、との返答でした。

所得拡大促進税制の適用が出来るかどうかは、今期と前期との給与を比較し、各期の平均給与の金額を計算する必要があります。特に、イレギュラーな人件費を外して計算するなど、かなり煩雑な処理を行わなければなりません。 明らかに人件費の数字が伸びていることが分かっていて、税額控除の適用ができるのに、経理担当者の方に集計をお願いすることができない・・・もどかしい状態となりました。  結局、忙しい時期に自分から首を突っ込むことで泥沼にハマらないか・・・でも後で後悔するのも嫌だ・・・と葛藤しましたが、経理担当者のご協力も得ながら私が主導して処理することとなりました。 お陰様で、気力、労力、体力、とても大変でしたが、どうにか申告に間に合わせることができました。

「給与の管理者を制限する」という考え方に、今も昔も否定はありません。
それは、同僚や上司・部下の給与を知ったところで、良いことは一つも無いと思っているからです。
自分より給与が高かろうが低かろうが、それは会社が一定の判断基準で決定しているだけであり、他人の給与を知ったところで、無意味な不平不満や優越感を生むだけです。
もし比較するとするならば、「自分の満足度と給与」、ではないでしょうか。

ただ、今回の件で、経理担当者には給与明細を閲覧できる権限を与えていただくと、こちらとしては大変助かるな・・・と思いました。

ところで、所得拡大促進税制は、国が国民の所得を押し上げる目的でこの制度を作りましたが、あまり効果は無いように感じております。
会社側が従業員の給与を増やす理由は、税制などではなく、それ以外の要因で判断している、と思えるからです。