No.181極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置について
2025.12.25

令和5年度税制改正において、税負担の公平性を確保する観点から、おおむね平均的な水準として30億円を超える高い所得を対象として、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置(租税特別措置法第41条の19に規定する「特定の基準所得金額の課税の特例」)が導入されました。
具体的には、個人でその者のその年分の基準所得金額が3億3,000万円を超えるものについては、その超える部分の金額の100分の22.5に相当する金額からその年分の基準所得税を控除した金額に相当する所得税を課することとされました。
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kiwataka/index.htm)
なお、令和7年の確定申告から適用されます。今回の改正で注目すべきは、特定口座等で申告不要制度を採用している納税者に対しても対象となる点です。
上記に記載しました基準所得金額とは、総所得金額及び分離課税の各種所得金額を合計したもの(確定申告不要制度を適用することができる上場株式等に係る配当所得の金額及び上場株式等に係る譲渡所得等の金額を含みます。)とあり、括弧書きのとおり、確定申告不要制度を適用することができる上場株式等に係る配当所得の金額及び上場株式等に係る譲渡所得等の金額を含み、特定口座で発生する譲渡所得や配当所得も含めて所得に合算することとなります。
制度の趣旨としては、株式や不動産等の長期譲渡所得の税率や上場株式等の配当等の申告分離課税の税率がどんなに所得が高くとも15%である一方、総合課税の段階税率は所得金額が40百万円以上の場合には税率45%となり、課税の不公平感を解消するために設けられたものと想定されます。
フローチャート(*1)の通り、今まで確定申告を行わずに申告不要制度のみで完結していた納税者に対しても確定申告が必要となってきます。
なお、具体的には「特定の基準所得金額の課税の特例に関する適用判定表 兼 税額計算書(*2)」に基づき、計算を行います。
(*1) フローチャート
(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/gengaku/02.pdf)
(*2)特定の基準所得金額の課税の特例に関する適用判定表 兼 税額計算書
(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/gengaku/01.pdf)
国税庁側で確定申告不要制度を適用することができる上場株式等に係る配当所得の金額及び上場株式等に係る譲渡所得等の金額をすべて把握できているはずであり、提出された確定申告書類を用いて国税庁側で算定できるのではないかと疑問がわきますが、今まで申告不要制度を採用して確定申告を行わなかった納税者の他の所得を把握できないことから、算定できないと考えられます。例えば、確定申告をしていない確定申告不要制度を適用している納税者の中には還付申告を先延ばしにしているだけの人もいる可能性も否定できません。
今後、3億3千万円ではなく、1億6500万円と控除額を下げる動きや税率を22.5%から30%まで引き上げようとする動きがあり、申告不要制度を採用している方には留意を有する内容となっております。

