No.175税制改正で変わる「扶養」のカタチ
2025.09.30

今年も残暑が厳しく、まるでこれから夏が始まるかのような気温の9月でしたね。昔に比べて秋が短くなっているようで、少し寂しい気持ちになります。しかし、時の流れは止まりません。私たちの生活に直結する制度もまた、時代に合わせて変化していきます。今回は、2025年度税制改正によって大きく変わる「扶養」に関するルール、特定扶養控除の見直しと特定親族特別控除の創設について見ていきましょう。
これらの改正は、原則として2025年12月1日に施行され、同年末の年末調整から適用されます。つまり、2025年分の所得税計算から、新しいルールが適用されるということです。源泉徴収事務にも変更が生じるため、企業の経理担当者だけでなく、子を持つ多くの家庭にとって関心の高いテーマとなるでしょう。
特定扶養控除の要件見直し:収入上限の引き上げ
まず、これまでの制度の根幹であった特定扶養控除の要件が大きく見直されます。
特定扶養控除とは、納税者に19歳以上23歳未満の扶養親族(主に大学生や専門学校生)がいる場合に受けられる所得控除のことです。従来の制度では、この控除を受けるための子の年収上限は103万円でした。学業の傍らアルバイトをする学生にとって、この103万円という壁は「年収の壁」として大きな制約となっていました。
しかし、今回の改正により、この年収上限が150万円まで引き上げられます。これは、子育て世帯の経済的負担を軽減し、アルバイト収入を気にすることなく学業に専念できる環境を整えることを目的としています。この改正によって、より多くの家庭が控除の恩恵を受けられるようになるでしょう。
特定親族特別控除の創設:新たな扶養控除の登場
特定扶養控除の年収上限引き上げと同時に、特定親族特別控除という新たな控除が創設されます。
この控除は、納税者が特定の親族(19歳以上23歳未満の者)を扶養している場合に、一定の要件を満たせば適用されます。この制度の大きな特徴は、親族の扶養区分(例えば、別居している親族など)に関わらず、納税者本人が直接経済的援助をしている事実に基づいて控除を受けられる点にあります。
なぜ、このような改正が行われるのか
今回の税制改正の背景には、現代社会における子育てや教育の多様化があります。大学の学費高騰や、学生のアルバイト収入への依存度が高まる中で、従来の制度では子育て世帯の実情に合わない部分が出てきていました。
例えば、これまでは子の年収が103万円を超えると、扶養控除の適用外となり、親の税負担が増えるため、アルバイトの時間を調整する学生も多くいました。今回の改正は、そうした「働きすぎると親に迷惑がかかる」という懸念を和らげ、学生が自身の学費や生活費をより柔軟に賄えるようにすることを意図しています。
また、特定親族特別控除の創設は、核家族化が進む現代において、親元を離れて暮らす学生への援助を税制面からも後押しするものです。
まとめ:年末調整に向けて準備を
これらの改正は、2025年分の年末調整から適用されるため、来年の年末には多くの人が新しい制度を実感することになるでしょう。企業の経理担当者はもちろん、子を持つ家庭の皆さんにとっても、新しい控除の要件や適用条件について、今からしっかりと確認しておくことが大切です。
税制は常に私たちの生活に寄り添い、そのあり方を映し出しています。今回の改正は、変化する社会の中で子育て世代を支えようとする国の姿勢を示すものと言えるでしょう。これから年末調整を迎えるにあたり、ご自身の家庭がどのような影響を受けるのか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。。

