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No.170あじさいの花

2025.06.25

あじさいの花

通勤時の楽しみに季節の花があります。こぶしや木蓮、桜と楽しんできましたが、今の時期はもちろんあじさいです。車窓から見える公園のあじさいや道路脇のあじさいに季節の変化を感じるとともに、日々、目を奪われています。

子供の頃は濃い薄いはあるものの、青や紫、ピンクしか見なかったあじさいの花ですが、最近は白いものや緑色のものを見かけることも増えました。いつから見るようになったのか、なぜ、昔見なかった色があるのかなど、知らないことも多くあじさいについて調べてみました。

あじさいの原産地はなんと日本でした。
あじさいの歴史はとても古く、有名な歌人では大伴家持が詠んだ歌が万葉集にあります。

「言問はぬ木すらあぢさゐ諸弟らが練りのむらとにあざむかれけり」

という歌で
「言葉を言わない樹でさえあじさいのように移り変わりやすいものです。諸弟らの練達な心に騙されました。」

という意味だそうで、美しいあじさいに対して移り変わりやすい、騙されたなどとは何とも気の毒な気がします。
万葉集の時代が味狭藍や安治佐為などと記されていたようで、藍色があつまったものという意味の「集真藍」が語源とされる説があるそうです。そのため昔は青いあじさいばかりであった可能性も高いという説もありました。

あじさいをモチーフにしたヨーロッパのジュエリーなども見かけますので、いつ頃どのようにして海外に伝わったのか調べてみると、鳴滝塾を開き日本に西洋医学を広めたドイツ人医師のシーボルトがヨーロッパに持ち帰り広まりました。シーボルトはあじさいを「Hydrangea otaksa」(ハイドランゼア オタクサ)として紹介したのですが、これは妻のお滝さんの名前です。オタクサはすでに別に品種に使われていたため無効となりましたが、シーボルトは妻の名前を付けるほど気に入っていたということが伝わってきます。
あじさいはヨーロッパで品種改良が重ねられ、現在よく見かける西洋あじさいが日本に逆輸入されました。

あじさいの色については、あじさい自体に含まれるアントシアニンという色素と有機酸の1種、アルミニウムの3つの要素が複合して変化します。 アルミニウムは土壌が酸性になると溶けだしやすく、逆にアルカリ性では溶けにくいそうです。そのため、あじさいは酸性土壌では青く、アルカリ性の土壌ではピンク色になります。
最近よく見かける白いあじさいはアナベルという品種のもので、アントシアニンが含まれていないため土壌の性質に関係なく白い花を咲かせます。

また、時々見かける緑色のあじさいですが、いくつか品種があり、そのうちの一つはアナベルです。アナベルは咲き始めは薄いグリーンで徐々に純白になるそうです。他にも咲き始めは緑で徐々に赤くなるあじさいやクリーム色になるあじさいもあり、日々何気なくみているあじさいですが、来年は色の変化も楽しみたいと思います。