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No.166シジュウカラは何語を話す?

2025.05.07

シジュウカラは何語を話す?

・「言葉」は人間だけのものか
話しをする鳥というとオウムか九官鳥を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、それは人間の声を音としてマネているだけで言葉とは言えないでしょう。
ところが、最近になって「人間だけが言葉を持つ」とする有史以来の常識を覆されかもしれない研究が進んでいます。



・枝をヘビと見間違え
東京大学の鈴木俊貴准教授が、長野県軽井沢町の森林でシジュウカラの巣箱を見回っていたとき
「ジャージャー」
初めて耳にするシジュウカラの特別な鳴き声に驚いて目を向けると、ヘビが樹木の幹をはい上がりながら巣箱に迫ろうとしていた。
巣箱を狙う天敵にはカラスやイタチなどもいるが、このようには鳴かない。
鳴き声を録音し、ヘビがいないときにスピーカーから流すと、シジュウカラは何かを警戒するような行動を見せた。

「『ジャージャー』はヘビを意味する単語かも」と仮説を立て実験した。
長さ約20センチの木の枝にひもを取り付け、ヘビのように樹木の幹をはわせながら巣箱に向けて引っ張り上げる手法だ。
他の鳴き声を流しながら引っ張ると、シジュウカラは木の枝にほとんど関心を示さない。
一方で「ジャージャー」という鳴き声を流しながら引っ張ると、シジュウカラは木の枝を確認するように近くで飛び回った。
普段は見間違えない木の枝を、「ジャージャー」と聞いたらヘビと見間違えたのだ。
このような実験を300回ほど繰り返し、鈴木さんはこの鳴き声が「ヘビ」を意味する単語であると結論付けた。
これまでに20以上のシジュウカラ語が判明したとされる。

 【シジュウカラ語の主な単語】
ジャージャー ヘビ
ヒヒヒ タカ
ピーツピ 警戒して
ヂヂヂヂ 集まれ

・語順逆だと通じない
シジュウカラ語のうち「ピーツピ」(警戒して)と「ヂヂヂヂ」(集まれ)2語の組み合わせで見えてきたのが、文法の存在だ。

シジュウカラの天敵に肉食性の百舌鳥がいる。追い払うには仲間を集める必要があり、「ピーツピ ヂヂヂヂ」という鳴き声が合図となる。百舌鳥の剝製を置いてこの鳴き声を流すと、シジュウカラが集まり、協力して追い払おうとした。

ところが語順を入れ替えて「ヂヂヂヂ ピーツピ」と流してみると、周りのシジュウカラは百舌鳥の剝製に関心を示さなかった。
語順を逆にすると反応しないのは、文法があるからだと考えられる。
人間をのぞけば、複数の単語を組み合わせる能力が実証されたのはシジュウカラが初めてという。
こうした組み合わせは200以上も確認されている。

・動物と人間が会話する未来
これまで動物の鳴き声は感情を表現しているだけと思われていました。
しかし、動物と人間の間で本当に会話できる日が来るかもしれませんね。
お互いに発音を真似るのは難しいので、専用の自動翻訳機が必要となるでしょうけども。