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No.159訪日客免税店制度の見直し

2024.12.25

訪日客免税店制度の見直し

政府は免税品を国内で転売するなどの不正を防ぐため、訪日観光客に適用している消費税の免税制度を見直す方針を固めたそうだ。

現行の免税店がパスポートを確認した上で消費税を抜いた価格で販売している仕組みを変更し、各店舗が税込みで販売した後、出国時に免税額を返金する方式(いわゆるリファンド方式)にする。令和7年度年度税制改正大綱に盛り込み、令和8年度中の導入を目指している。

現行制度では商品購入時に免税しているため、外国人旅行者が購入後の商品を転売する不正行為等が横行しており、税関当局も出国時の確認を強化しているが、現在の制度では税の未納があっても、身柄の拘束は難しく、いったん出国されてしまうと、徴収は事実上困難であり、以前のニュースでは年間約21億円もの消費税が未徴収のままとなっているとのことだった。

今後は旅行者が免税店で商品購入時に消費税込みの金額を支払い、店舗側は国の専用システムに購入記録情報を提供し、出国時に空港などの税関で国外への持ち出しを確認した場合に免税分を返金する方式とする。

なお、当免税制度の見直しに先立ち、令和6年度の税制改正では、令和6年4月1日以後に訪日客向け消費税免税制度により免税購入された物品と知りながら行った課税仕入れについては、仕入税額控除制度の適用を認めないこととされており、まず仕入側の規制を強化している。
一方で外国人旅行者の利便性の向上や免税店の事務負担の軽減のため、化粧品や食品などの「消耗品」を購入する際に設けられている50万円の上限額を撤廃するほか、開封したかどうかが分かる特殊包装も廃止する方向で調整している。

当免税店制度の見直しにより、外国人旅行者による国内での転売等の不正行為は防止できるが、免税店側では会計処理を変更する必要がある。現行の制度では店舗で免税手続きが済んだ売り上げは直ちに免税売上としていたが、新制度で販売時は一旦課税売上として処理し、税関承認後に免税売上へ振り替え、消費税を返金するという流れになるのではないかと考える。税関承認の情報等はシステムで把握できると考えるが、現行制度に比べると処理が煩雑になりそうだ。

また、税関当局は訪日客の出国時に免税購入品の確認をし、確認ができたものに係る消費税額を返金するという手続きが増えることになる。変更前に周知をしてくと思われるが、変更直後は空港の混雑やトラブルが見込まれる。
免税店制度の見直しは、外国人旅行者による国内での転売等の不正行為を防止できる一方で、免税店側ではシステムの改修や会計処理の変更が求められそうである。今後の続報を確認していきたい。