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No.132社会保険手続き~過去分の修正方法~

2023.07.13

社会保険手続き~過去分の修正方法~

夏至も過ぎ、暑さも本格さを増してくる7月です。もうそろそろ梅雨明けでしょうか。
7月は提出期限の書類が盛りだくさんでしたが、皆様お忘れではないでしょうか。労働保険料の年度更新に健康保険・厚生年金保険の定時決定(算定基礎届)、納期の特例の源泉納付もありましたね。

そのなかで過去の昇給・減給において発生していた健康保険・厚生年金保険の届出の提出漏れがあったことが判明するケースもございます。
そこで基本をおさらいしつつ、遡って過去分の届出をする場合の流れについて書いていきたいと思います。

●定時改定とは/随時改定とは

<定時改定>
被保険者の実際の報酬と健康保険・厚生年金保険の標準月額に大きな差が発生しないようにするため、毎年1回標準月額を見直すこと。
事業主が7月1日時点で使用している全ての被保険者に支払った3カ月間(4~6月)の賃金を「算定基礎届」によって提出することで9月~翌年8月までの標準報酬月額が決定され適用される。
提出対象者:7月1日時点の全ての被保険者・および70歳以上被用者。ただし、⑴6月1日以降に資格取得を行った方、⑵6月30日以前に退職された方、⑶7月改定の月額変更届を提出する方※1、⑷8月または9月に随時改定が予定されている旨の申し出を行った方の提出は不要※1※2
※1 算定基礎届は備考欄「3.月額変更予定」に〇をつけ、標準報酬月額は空欄で提出をする
※2 随時改定の要件にあてはまらないことが判明した場合は速やかに算定基礎届を提出する

<随時改定>
被保険者の報酬が昇給または降給により固定的賃金の大幅な変動があった場合に定時改定を待たずに標準報酬月額を見直すこと。
条件:以下の3つ全てを満たす場合に随時改定は行う。
1 昇給(ベースアップ)・降給(ベースダウン)、給与体系の変更、日給・時間給の基礎単価の変更、固定的な手当の追加や支給額の変更等によって固定的賃金に変動があった
2 これまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた
3 3カ月とも支払基礎日数が17日以上である

●過去に提出漏れが判明した随時改定の届出

提出漏れが発覚したら、管轄の年金事務所にその旨の通達の連絡をし、速やかに提出漏れのあった届出書を作成し、提出をします。このとき遅延理由書を求められる場合もあります。

提出漏れによって生じた本来徴収される保険料と実際徴収した保険料との差額に対する処理をします。年金事務所からの指示や会社の判断により対応は異なりますが、等級が上がった場合には不足分を徴収し、等級が下がった場合には翌月以降の保険料に充当又は従業員へ還付しなくてはなりません。

従業員の報酬をもとに標準報酬月額を計算し、必要に応じて届出を提出することは事業主の義務です。そのため提出漏れにより保険料の差額が発生したのも事業主の責任となります。当該従業員への経緯説明をしっかりすることはもちろんですが、なるべく当人への負担がかからない方法を模索することが大切です。

社会保険料の未収や過払いは場合によっては所得税の計算に影響を及ぼす可能性があります。提出漏れの期間が長期になればなるほど手続きが煩雑になります。昇給・降給があった場合には月額変更届の提出が必要になるかどうかしっかりと確認をし、提出漏れが発生しないようにすることが大切です。