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No.111総理大臣は一日3,800円

2022.07.19

総理大臣は一日3,800円

最近立ち会った税務調査で、「トリビア」的な雑学を知りました。

その税務調査は源泉所得税がメインで、普通の会社では法人税・消費税と一緒に行うことが多い税目の為、珍しいかもしれません。

【源泉所得税は、毎月、会社員の給与から控除され(差し引かれ)、多くの人が年末調整時に幾らか戻ってくる所得税が代表的で、その源泉所得税を徴収し納付する義務は、給与の支払者(会社や事業主)にあり、徴収金額を間違ったり、徴収しなかった場合は、その支払者にペナルティが課される税金です。
この方法だとほとんどの会社員は確定申告を行わず、その年の所得税の納税が完了します。】

その調査で、ここ最近の報道でNTTグループの一部の社員が「在宅勤務が原則で、会社へ行く場合は出張扱いになる」とあったので、その出張で通常必要な旅費の範囲の支給であれば、従来通り所得税は非課税になるのかを調査官に聞いてみました。
その調査官の見解は、従来通り非課税になるとのこと。
また、その中で「日当」の話になり、総理大臣にも日当があり、その金額は1日3,800円だと調査官が言われ、「日当は諸雑費」である旨を強調されていました。

その後、「総理大臣の3,800円の日当」が頭に残っていたため、検索をしたところ、下記の事項が確認出来ました。

「国家公務員等の旅費に関する法律」(旅費法)という法律があり、その中の別表第一(国内旅行の旅費)に最高ランクとして、「内閣総理大臣及び最高裁判所長官は一日につき3,800円の日当」とあり、それ以外にも等級別に金額が記載されています。
(海外旅行だともっと金額が高く4段階に区分)

今までこの旅費の一部である「日当」を漠然と捉えていましたが、国が考える「日当」の本来の定義は何かを確認したいと考え、 旅費法をもう一度読んでみると、第6条(旅費の種類)の6に「日当は、旅行中の日数に応じ1日当りの定額により支給する。」とだけ記載があり、それ以上の内容は書いてありません。

もう少しググッて調べてみると、内閣官房が2016年に作成したとみられる「旅費業務に関する標準マニュアルver.2‐0」が内閣官房のHPにあり、そこに「日当の概要」として、 「日当とは、目的地内を巡回する場合の交通費及び諸雑費を賄う旅費であり、一日当たりの定額を支給される」と記載され、巡回交通費及び諸雑費は日当のそれぞれ半分程度を想定している旨が記載。「諸雑費は旅行中の昼食代や官署との電話代等」と記載されており、このマニュアルが公務員を対象に作成されていることが分かります。
(実際の運用方法は不明ですが、上記の記載は以前からある日当の考え方を準用されているだけかと思われるので、新しいものではないと思われます。調査官が諸雑費と強調していたのも納得。)

所得税法第9条第1項第4号及び所得税基本通達9-3により非課税とされる旅費の範囲が規定されており、その通達の一文に、「その旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等」の等に日当も含まれると思われます。興味のある方は、上記の旅費法を含む法律等を読んで頂くのも良いかと思われます。

通常必要な範囲での旅費の支給を、実費弁償と捉え、所得税が非課税となっていることを考えると、その旅費の一部である「日当」も同じ実費弁償と考えることは自然なことかと思われます。
故に、日当をその他の手当(労働の対価)と考えて、実費弁償よりも多く支給してしまうと給与課税される恐れがあるので気を付けたいところです。

最後に、雑学をもう一つ。
「税理士」の歌詞が出てくる楽曲は、自分が知る限り、椎名林檎の「丸の内サディスティック」。
良い曲です。一度聞いてみてはどうでしょう?