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No.109令和の怪物

2022.05.30

令和の怪物

4月10日、ロッテの佐々木朗希投手が完全試合を達成しましたね。

子どもの頃は毎日のようにナイター中継を見ていましたが、野球を目にする機会もほとんどなくなっていた今日この頃、20歳の快投によって、久しぶりに野球に夢中になっています。

次の登板はテレビ中継で観戦。佐々木投手は8回までパーフェクトに抑え、史上初の2試合連続完全試合が目前に迫っていました!しかし、ロッテの井口資仁監督は交代を告げます。
その理由を「今日は100球弱と思っていた。先々を考えると、あそこが今日は限界だったのかな」と明かしたそうです。既に102球を投げていました。

降板の是非についてネットの論調を見ると、「将来のためを考えれば当然だ」と佐々木投手の体を気遣う采配を肯定する意見が目立ちます。

私は外野の声よりも、本人の気持ちを知りたいと思いました。スポーツ紙のサイトを見ると、広報を通じて「無失点で試合を進めることができて良かったんですが、ちょっと球数が多くなってしまったのと、フォークの精度がいまいちだったので、そういったところをもっと良くなるようにしていきたい」とコメントしたそうです。
記者の直接取材ではないため、降板についての言及はありませんでした。まだ3年目の佐々木投手は首脳陣の指示に従う以外ないのでしょう。

でも、もし私が佐々木投手だったら「投げたかったな」と思ったでしょう。

過去には、若い頃に投げ過ぎて肩や肘を壊し、短命に終わった投手も数え切れないほどいます。佐々木投手を同じ事態に陥らせるわけにはいきません。
ただ、その“将来”っていつなの? 子どもの頃からプロ野球選手に憧れ、夢を実現した。幼少期から見れば、今が“将来”です。
現在から見た“将来”である数年後、『2試合連続完全試合』というチャンスが訪れるとは限りません。あまりに“将来”を見据え過ぎることで、大事な“今”を失っている可能性もあるのではないでしょうか。

佐々木投手は“将来”メジャーリーグに移籍するでしょう。そのため、「日本の宝を壊すわけにはいかない」とロッテの首脳陣が慎重になり過ぎているようにも感じます。

しかし、日本のプロ野球はメジャーの下部組織ではありません。現在、佐々木投手に年俸を払っているロッテの目的は“試合に勝つこと”です。
あの試合、結局チームは負けました。佐々木投手が続投しても打たれたかもしれません。ただ、完全ピッチングを継続している投手の後を受けるリリーフには相当なプレッシャーが掛かったでしょう。

“チームの勝利”よりも“個人の将来”を優先するほどの逸材であることは間違いないと思います。しかし、首脳陣が“将来”ばかりを考えて、佐々木投手が“今”を完全燃焼できないとなれば、それは彼にとって本当に幸せなことなのか、と考えてしまいました。