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No.98最近の昼休みと金券ショップ

2021.11.29

最近の昼休みと金券ショップ

日曜日の朝、サラリーマンの昼食を紹介する「サラメシ」と言うNHKの番組をよく見ています。
職場の状況により昼食の内容はそれぞれですが、その人の生活感が垣間見える気がして、ボーっとして見る休日の朝には良い番組かと思います。
(中井貴一さんのナレーターも良い感じです・・)

自分の昼食を顧みると、お腹を満たすことが第一で、以前は牛丼チェーンの牛丼ばかり食べていました。
体に良いわけがなく、お腹のベルトが苦しくなり、肥満も意識するようになり、食生活を改善したいと思っていました。

ここ最近はコロナ禍でもあり、外食をするのも躊躇する雰囲気がありましたが、昼食の時間を1時間ほどズラして行くと、お店が結構空いていることに気づき、中でも比較的空いている中華料理のチェーン店に行くのが日課となりました。
何となく健康的で食べ慣れたもの、値段も手ごろなもので早く出てくるもの、と考えた結果「野菜炒め定食」(税込み600円)をリピート中。
食後は、散歩がてら近くのスーパーで食材を購入したり、ドラッグストアで特売の日用品を購入したりと過ごしています。

その通り道に前から気になっていた金券ショップがあります。
遠巻きに眺めながら、何かお得なチケットはあるのかと考えながら通り過ぎていましたが、この間、行きつけの中華料理店の株主優待券を発見しました。
価格は券面500円分が475円で販売され、店員さんに聞くと、使用時にお釣りは出ないこと、使用期限が半年先だと分かり、いつも600円の野菜炒め定食を食べているので、この優待券に100円をプラスすれば何の問題もないこと、ほとんど毎日食べているので期限も気にならないと考え、10枚購入し、食後のレジ精算でも問題なく使用OK。

その後も、金券ショップを通り過ぎるたびに眺めていますが、なかなか株主優待券は売り出していないので少し残念。
(食品の消費又は賞味期限と同じく、使用期限が短くなればなるほど値段は安くなるようで、自分には都合が良いのですが・・)

今回はこの株主優待券について、税務上の処理を考えます。
購入した株主優待券のレシートには、非課税の文字がありました。
これは株主優待券の購入(相手側では譲渡)が消費税法上の取引の区分では、非課税取引を意味します。
非課税の取引は、本来なら課税取引の要件を満たしていますが、その取引の性質や国の政策上、消費税を課さない方が良いと判断した取引です。
今回の株主優待券は、非課税の区分の中の「物品切手等」に該当します。(郵便切手と名前は似ていますが、それとは違う取り扱いとなります)
物品切手等の仲間には、他にも商品券やビール券・旅行券・劇場の入場券・プリペイドカードがあります。

なぜ非課税取引になるのか?商品券を例に考えてみると、商品券を使用する最終的な目的は、商品を購入する代金の支払(現金の代わり)であり、商品購入時に初めて消費税の課税取引が発生するため、それ以前の商品券の売買に消費税を課税すると二重課税となり、それを避けるため非課税となっています。

物品切手等をもう少し専門的に言うと、「物品の給付請求権等を表彰する証書」と言い、消費税基本通達6-4-4では下記の通り定めています。
① その証書と引換えに一定の物品の給付、貸付け、又は特定の役務の提供を約するものであること。
② 給付請求権利者がその証書と引換えに一定の給付等を受けたことによって、その対価の全部又は一部の支払債務を負担しないものであること。

今回購入した株主優待券は、使用時にお釣りは出ませんが、500円分まで
①物品の給付等を受けることが出来、②対価を負担しないため、物品切手等に該当します。
もしこれが「割引株主優待券」であれば、それをもって物品の給付等を受けることが出来ず、対価の負担は必要でその代金の一部を割引くだけなので、上記の要件を満たさないため、物品切手等に該当せず、消費税は課税取引になります。

みなさんが何気なく購入している金券ショップの商品が、消費税の取引で何に該当するか調べてみるのも面白いかもしれません。
(ちなみに、消費者側には関係ありませんが、株主優待券を発行している会社側の処理では、また違った税法が関係することもお伝えします。)