048-834-1155

9:00~17:00 ( 土日祝を除く )

No.25租税特別措置法における当初申告要件

2018.07.26

租税特別措置法における当初申告要件

 租税特別措置法に規定する税額控除の特例の適用に当たっては、いわゆる「当初申告要件」がありますので、修正申告書や更正の請求書を提出する場合に限らず、確定申告の際にも注意が必要です。

 例えば、租税特別措置法第42条の12の5(給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除)第5項には、
 第1項及び第2項の規定は、確定申告書等(これらの規定により控除を受ける金額を増加させる修正申告書又は更正請求書を提出する場合には、当該修正申告書又は更正請求書を含む。)にこれらの規定による控除の対象となる雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細並びに継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、これらの規定により控除される金額の計算の基礎となる当該控除した金額は、確定申告書等に添付された書類に記載された雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額を限度とする。
 とあり、また、租税特別措置法第2条(用語の意義)第2項第27号には、
 確定申告書等 法人税法第2条第30号に規定する中間申告書で同法第72条第1項各号に掲げる事項を記載したもの及び同法第144条の4第1項各号又は第2項各号に掲げる事項を記載したもの並びに同法第2条第31号に規定する確定申告書をいう。
 とあります。

 上記のとおり、租税特別措置法第42条の12の5第5項には、括弧書きのある「確定申告書等」と括弧書きのない「確定申告書等」が2度登場しますが、後に出てくる「確定申告書等」には、括弧書きがありませんので修正申告書と更正請求書は含まれず、中間申告書と確定申告書のみを指すこととなります。
 そのため、当初確定申告の際に税額控除適用の余地があるにもかかわらず、赤字で法人税が発生しないため明細書を添付しなかった場合、後日税務調査による否認事項によって黒字となっても、確定申告書に添付された書類に記載された雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額はありませんので、税額控除は受けられないこととなります。
 租税特別措置法に規定する税額控除の適用要件を満たす場合には、赤字であっても念のため明細書を添付しておいてはどうでしょうか。