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No.93税務行政のデジタル・トランスフォーメーション -税務行政の将来像2.0-

2021.09.02

税務行政のデジタル・トランスフォーメーション -税務行政の将来像2.0-

このサイトにたどり着いたか何のきっかけは何か忘れてしまいましたが、表題のような国税庁のサイトがありました。そもそもデジタル・トランスフォーメーションとは何か、将来像1.0(もしくは1.2など)があったのか確認してみました。

デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは、Wikipediaによると「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という仮説とされています。ITの浸透がどれだけ進んでいるかわかりませんが、自分の周りの目に見えるだけで判断すると、ネットワークにつながっている機器は指で数えるほどで、まだまだこれから成長余地のある分野なのかと考えています。

税務行政の将来像は平成29年6月から概要を公表しているようです。国税庁のホームページでは、普段は法令や手引、通達しか拝見しませんが、将来についての方針が記載されていることを初めて知りました。明確には記載されていませんが、おそらくこの平成29年6月が1.0となるのでしょう。ちなみに1.2や1.3は確認できませんでした。

さて、その内容ですが、「「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を2本の柱としつつ、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」に向けた構想を示すとともに、課税・徴収におけるデータ分析の活用等の取組を更に進めていくこととしています」とありました。
この「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」では具体的に下記の5つの構想があるようです。

1.税務署に行かずにできる「確定申告(納付・還付)」(申告の簡便化)
2.税務署に行かずにできる「申請・届出」(申請等の簡便化)
3.税務署に行かずにできる「特例適用状況の確認等」(自己情報のオンライン確認)
4.税務署に行かずにできる「相談」①(チャットボットの充実等)
5.税務署に行かずにできる「相談」②(プッシュ型の情報配信)

最初の「確定申告(納付・還付)」は確定申告について「申請・届出」(申請等の簡便化)は届出書について、必要な項目のみを表示し、誤りのない記入や記入の省力化を促すものとなります。
いちいち関係のない項目(税務署処理欄など)を見たり、既に記入したことのある項目(住所など)を改めて書いたりしないで済むため、手続が円滑に進むかもしれません。私見ですが、個人の確定申告の還付加算金が来年度の確定申告書に雑所得として自動で反映される仕組みも欲しいと願っています。

「特例適用状況の確認等」は特例適用(青色承認、消費税簡易課税等)や納税(未納税額がない旨等)の状況については、マイナポータルやe-Taxにより確認できる仕組みの実現を目指すもので、現状でも実現できそうな構想かと思いました。令和4年5月には書面で提出した申告書等のイメージデータも確認できるようにするようです。

4番目のチャットボットですが、現在もLINEのようにメッセージを送れば返答してくれるチャットボットはあるようですが、対応項目が限定的のようです。今後、自分の状況(自営業か会社員か等)に応じた回答をする、回答にたどり着きやすい仕組みにしていくようです。

5番目のプッシュ型の情報発信は、災害があった場合に納期限の延長がある旨を通知するものです。このほかに、国税庁に提出された法定調書の情報を基に、不動産を売却した個人に対して、申告が必要となる旨の通知を行うことを目指すようです。法定調書の情報から通知が来るとなんだかびっくりしそうですね。

このほかにもいろいろ記載されていますのでご参照ください。

このようにデジタル技術によって税務行政も変革がなされていますが、何でもデジタル化すればいいとは思いません。国際会計基準(IFRS)が多くの上場企業で採用される中、英語が必要か?という問いに、昔の上司が必ずしも必要ではない、と答えました。
その趣旨は、英語はただのツールであって、業務の中で使用する必要があるとなれば、英語を習得しなければならないが、日本語の中で業務を完了できるのであれば必要ない、ということのようでした。おそらくデジタルも同様にツールなのだと思います。
これによって非効率になるか効率的になるか考えながら、今後のことも見据えて行動していきたいと思います。