No.189身近な感染症「はしか」
2026.05.27

近年、日本国内では「はしか(麻しん)」の感染がたびたび話題となっています。一時はワクチン接種の普及によって患者数が大きく減少しましたが、海外からの持ち込み感染などをきっかけに再び流行が見られています。はしかは単なる子どもの病気と思われがちですが、大人でも感染する可能性があり、重症化する場合もあるため、正しい知識と予防が重要です。
はしかとは、「麻しんウイルス」によって引き起こされる感染症です。麻しんウイルスは非常に感染力が強いことで知られており、空気感染、飛沫感染、接触感染の三つの経路で広がります。特に空気感染する点が大きな特徴で、感染者と同じ空間に短時間いるだけでも感染する可能性があります。その感染力は非常に強く、免疫を持っていない人が感染者と接触すると、多くの場合で感染するといわれています。
感染の原因は、感染者のせきやくしゃみ、会話によって放出されたウイルスです。ウイルスは空気中にしばらく漂うため、人が多く集まる場所では特に注意が必要です。学校や職場、電車、商業施設などでは、一人の感染者から集団感染につながる可能性もあります。
はしかの症状は段階的に進行します。まず感染後10日ほどの潜伏期間を経て、発熱、せき、鼻水、くしゃみなど風邪に似た症状が現れます。この時期には強い倦怠感や目の充血を伴うこともあります。さらに、口の中の頬の内側に「コプリック斑」と呼ばれる小さな白い斑点が現れることがあり、これははしか特有の症状として知られています。その後、一度熱が下がったように見えてから再び高熱が出始め、顔や耳の後ろから赤い発疹が現れます。発疹は次第に首、胸、腕、足へと広がり、全身を覆うようになります。この時期には39度以上の高熱になることも多く、体力を大きく消耗します。
また、はしかで特に注意しなければならないのは合併症です。代表的なものには肺炎、中耳炎、脳炎などがあります。特に肺炎は死亡原因となることもあり、乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人では重症化しやすいとされています。さらに、まれではありますが、感染から数年後に「亜急性硬化性全脳炎」という重い脳の病気を発症する場合もあります。このように、はしかは決して軽い感染症ではありません。
現在、はしかに対する特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心です。そのため、最も重要なのは予防です。予防方法として最も効果的とされているのがワクチン接種です。麻しんワクチンは非常に高い予防効果を持ち、日本では通常二回接種することが推奨されています。二回接種を受けることで、多くの場合十分な免疫を得ることができるとされています。
しかし、過去に一回しか接種していない人や、接種歴が不明な人も少なくありません。そのため、自分の母子手帳や予防接種記録を確認することが大切です。特に海外渡航を予定している人や、人と接する機会が多い職業の人は、事前に免疫の有無を確認することが望ましいでしょう。
さらに、基本的な感染対策も重要です。手洗いやうがい、十分な睡眠、体調管理を心がけることで感染リスクを下げることができます。また、発熱や発疹など、はしかが疑われる症状がある場合は、周囲へ感染を広げないためにも無理に外出せず、医療機関で受診することが大切です。
感染症は、誰にとっても決して他人事ではありません。しかし、正しい知識を持ち、適切な予防を行うことで、自分自身だけでなく周囲の人々の健康も守ることができます。感染を防ぐためにも、予防意識を持ち、ワクチン接種や感染対策を心がけていくことが大切なのではないでしょうか。

